カナダは長年にわたり、Geoffrey HintonやYoshua Bengioといった世界的AI研究者を輩出し、AI研究の先進国として評価されてきた。しかし現在、国内の計算資源(コンピュート)の不足という重大な課題に直面している。他国に依存した計算基盤は、データ主権やプライバシーの観点からリスクを孕んでおり、特に米国依存が顕著である。
この状況を打破する鍵として注目されているのが、分散型物理インフラネットワーク(DePIN)とオープンウェイトAIモデルの台頭である。これらの潮流を背景に、カナダ発のAI企業Nebula AIが立ち上げた「Nebula Block」が登場。RTX 5090やH100といった高性能GPUを活用し、コストを50〜80%削減したAI特化型クラウドを提供している。
Nebula Blockは柔軟な開発環境を備え、学術機関やスタートアップ、政府・医療機関向けに安全かつカスタマイズ可能な計算資源を提供。分散化を軸に、カナダ独自のAI主権を回復する基盤として注目されている。AIインフラのWeb3化を目指すこの取り組みは、カナダの次世代技術リーダーシップに直結する可能性を秘めている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Canada has a decentralized ace up its sleeve in the global AI race」
コメント
カナダは優れたAI人材と研究基盤を持ちながら、計算リソース不足に悩まされてきました。しかし、分散型クラウド「Nebula Block」の登場により、その課題に対する具体的な解決策が提示されています。従来の米系クラウド依存から脱却し、国内でのAI開発環境を強化する動きは、今後の技術主権確立にとって極めて重要です。これからのAI時代において、どの国が主導権を握るのかを考えるうえで、カナダの取り組みは注目すべき事例となるでしょう。