カナダにおけるステーブルコインの導入が他国に比べて著しく遅れていることに、国内の暗号資産業界関係者から懸念の声が上がっている。特に、カナダ証券管理局(CSA)が2022年にステーブルコインを「証券またはデリバティブ」と分類したことが、その成長を阻んでいると指摘されている。
欧州のMiCA法やシンガポール、UAE、米国における進展に比べ、カナダは統一的な規制枠組みが欠如しており、規制の不確実性が業界の発展を妨げている。NDAX取引所の幹部やWeb3カウンシルの代表者も、ステーブルコインを送金手段として認識すべきであると訴えている。
この遅れは、カナダ・ドル(CAD)の国際的地位にも悪影響を及ぼす恐れがある。USD連動のステーブルコインが普及する中で、CADベースの選択肢が欠けていることは、消費者や企業が他国通貨に依存するリスクを高める。
また、国内にはP2P決済インフラが乏しく、ステーブルコインがそのギャップを埋める可能性があるにもかかわらず、規制の障壁が利用拡大を阻んでいる。実際、カナダ人の91%が暗号資産を決済に使用したことがないという調査結果もある。
暗号資産に懐疑的とされる自由党のマーク・カーニー首相も、ステーブルコインに関しては一定の役割を認めており、今後は決済近代化やCADの国際的な維持のために、より明確な規制構築が期待される。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Canada lags with stablecoin approach, but there’s room to catch up」
コメント
カナダにおけるステーブルコインの普及が進まない背景には、厳格すぎる規制と制度の不透明さが大きく関係しています。他国がステーブルコインを現実的な決済手段として取り入れる中、カナダでは機会が失われつつあります。もし明確な法制度が整えば、カナダ・ドル建てのステーブルコイン普及により国内のデジタル決済環境は大きく進化するはずです。今後の政府の方針と規制改革に注目したいところです。