世界各国が数十億ドル規模の予算を投じて「暗号資産ハブ」構築を進める中、特に注目されるのがシンガポール、UAE(ドバイ)、香港、アメリカ、イギリスの5つの金融拠点である。

シンガポールは2019年に施行された「決済サービス法(PSA)」により、アジアでいち早く包括的な仮想通貨規制を整備。機関投資家向けを中心とし、厳格なライセンス制度や税制の透明性、法治国家としての信頼性を武器に、多くの暗号資産企業が拠点を置いている。一方で、移民政策の厳格化が企業誘致の足かせとなる懸念も浮上している。

UAEのドバイは、専任の規制機関「VARA」を設立し、NFTやステーキングなどもカバーする広範なライセンス制度を整備。個人所得税ゼロ、外資100%所有の自由貿易地区など、企業にとって魅力的な環境を整えており、バイナンスも本拠地候補として注目している。

香港は2023年に小口投資家にも開放されたライセンス制度を導入し、ビットコイン・イーサのETFやステーキング機能も承認。2025年には規制のギャップを埋める「ASPIReロードマップ」も発表し、制度整備を急ぐ。

アメリカはトランプ大統領の再登場により、SECによる強硬姿勢から転換。複数の訴訟が取り下げられ、コインベースやバイナンスUSの業務再開など、規制環境が緩和。ETFを通じた機関投資の流入も進み、ニューヨークを拠点とする動きも加速している。

イギリスは2025年に暗号資産を規制対象に含めた法案を準備中であるものの、政権交代により政治的熱量はやや低下。ただし、起業環境や税制優遇により、ロンドンは依然としてフィンテック企業にとって魅力的な拠点である。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Who’s got the charm, cash and code to be a crypto hub?」

コメント

暗号資産業界において、どの国や都市が次世代の中心地となるかは、今後の法整備や政策の方向性に大きく左右されます。シンガポールやドバイのように明確なルールと税制上の利点が整っている国々は企業誘致に積極的で、成長が見込まれます。日本からの進出を検討する場合、規制、コスト、アクセスのバランスを総合的に判断することが重要です。今後の動向に注目し、国際的な視点を持って戦略を立てることが成功のカギになるでしょう。