暗号資産ミキサー「Tornado Cash(トルネードキャッシュ)」の開発者ローマン・ストーム氏の弁護団は、米財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)との通信に関する証拠が検察側により隠蔽されたとして、訴訟の却下を求める再審請求を行った。

2023年のFinCEN文書によれば、ノンカストディアル型の仮想通貨ミキサーは「送金業者」には該当しないと明示されているにもかかわらず、検察はこの事実を把握していながらStorm氏およびSamourai Walletの開発者に対して訴訟を継続していたという。

検察側は証拠の提出遅延を否定し、手続きに沿って書類を開示したと主張しているが、Storm氏の弁護団は、5月5日のSamourai Wallet訴訟における文書と同様に、この件が裁判所に誤解を与えるものであったと指摘している。

さらに、4月には連邦裁判所が「Tornado Cashに対する制裁は違法」との判決を下したにもかかわらず、米政府はStorm氏への訴追を継続しており、訴因の一部のみが修正された形となっている。

本件は、分散型開発者に対する米国政府の法的アプローチの是非が問われる重要な前例となり得る。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Tornado Cash dev’s attorneys say prosecutors hid exculpatory evidence」

コメント

トルネードキャッシュ事件は、暗号資産開発者がどこまで法的責任を負うべきかを問う重要な裁判です。特に今回は、米政府が重要な証拠を意図的に開示しなかった疑いもあり、透明性と公正性の観点から注目が集まっています。今後、分散型技術の自由と法規制のバランスがどう取られるのか、動向を見守る必要があります。