ドバイ政府は、政府サービスにおける仮想通貨決済の導入に向けて、暗号資産取引所Crypto.comと提携した。5月12日に開催された「ドバイ・フィンテック・サミット」において正式に締結されたこの協定は、ドバイが推進する「キャッシュレス戦略」の一環である。

この新たな支払い手段により、市民や企業は、政府機関のサービス料金をCrypto.comのデジタルウォレットを通じて仮想通貨で支払うことが可能になる。支払われた仮想通貨はアラブ首長国連邦ディルハム(AED)に変換され、ドバイ財務局(DOF)の口座へ送金される仕組みである。

デジタル決済システム規制局長のアムナ・モハメド・ルータ氏は、「2026年までに官民合わせた金融取引の90%をキャッシュレス化するという目標に向け、大きな一歩となる」と述べている。

現時点では、どの仮想通貨が受け入れ対象となるか明言されていないが、「安定した暗号通貨」との表現から、ステーブルコインの利用が想定されている。実際、アブダビではディルハムと連動する新たなステーブルコインの発行が計画されている。

ドバイ財務局は、今回の戦略がフィンテック産業の成長を加速させ、少なくとも80億ディルハム(約21億ドル)の経済効果を生むと試算している。現在、政府は高いセキュリティと効率性を確保しながらもイノベーションを促進する規制枠組みの整備を進めている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Dubai taps Crypto.com to enable crypto payments for govt services」

コメント

ドバイ政府がCrypto.comと提携し、政府サービスへの仮想通貨決済導入を開始する動きは、世界的にも注目すべき進展です。特にステーブルコインを活用することで、価格変動リスクを抑えつつ、ブロックチェーン技術の実用化が進む点は、他国にも参考になる取り組みだといえます。キャッシュレス社会への移行に加えて、仮想通貨と既存制度との融合が進むことで、より利便性の高い行政サービスが実現するかもしれません。日本においても、こうした先進事例から学ぶ姿勢が求められます。