ビットコインの価格が2013年から60万%以上も上昇する中、各国政府がその評価益に注目し始めている。これまで多くの国では「売却しない限り税金はかからない」という資産課税の原則が維持されてきたが、**未実現利益に対する「富裕税」**の導入が現実味を帯びつつある。
富裕税とは、保有資産全体の純資産額(現金、株式、不動産、暗号資産など)に対して課税する仕組みで、保有しているだけで毎年一定割合が課税される。所得ではなく「保有」に課税する点が特徴であり、特に富裕層からの財源確保と格差是正を目的としている。
ベルギー、ノルウェー、スイスなど一部の国ではすでに富裕税制度が存在しているが、米国、オーストラリア、フランスなどの主要経済国ではこれまで導入されていなかった。しかし、フランスの議員がビットコインを「非生産的資産」と位置付け、年間課税対象とする提案を行ったことを受けて、世界各国でも類似の議論が広がっている。
特に、ARK Investのキャシー・ウッド氏が2030年にビットコイン価格が150万ドルに達すると予測するなど、将来的な利益を見込んで、課税対象としてのビットコインが注目されるのは自然な流れである。
しかし、資産課税にはリスクも伴う。裕福な投資家が高税率国を離れ、ドバイなどの低課税国へ移住する傾向も見られる。また、ウクライナが暗号収入に23%課税する一方、ステーブルコインには免除を設ける方針を打ち出すなど、各国の方針にはばらつきも見られる。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Will Bitcoin hodlers be the reason more countries adopt wealth taxes?」
コメント
ビットコインの長期保有者にとって、未実現利益に対する課税は無視できない問題です。特に富裕税が導入されれば、資産を売却していなくても課税対象になる可能性があり、計画的な資産管理がますます重要となります。一方で、過度な課税は富裕層の国外流出を招く懸念もあり、政策のバランスが問われています。今後、暗号資産を保有する方は、各国の税制の動向に敏感になっておくことが必要です。