2025年5月、パリにおいて仮想通貨関係者の家族を標的とした重大事件が2件発生した。13日には、仏仮想通貨取引所PaymiumのCEOであるピエール・ノワザ氏の娘と孫が誘拐されそうになる事件が発生し、3日には仮想通貨起業家の父親が700万ユーロ(約7.8億円)の身代金を要求されて数日間拘束されていた事案も明るみに出た。

このような事件が相次ぐ背景について、ブロックチェーン分析企業ChainalysisのCEOであるジョナサン・レヴィン氏は「犯罪組織の一部は、仮想通貨が追跡可能であるという認識が欠けている」と指摘。仮想通貨は匿名性が高いと誤解されやすいが、実際には取引履歴がブロックチェーンに記録されており、法執行機関による追跡が可能であると強調した。

実際に、近年では身代金支払いや盗難資金の追跡に成功し、多くの容疑者が逮捕されている。レヴィン氏は「こうした犯罪行為はもはや儲かるビジネスではなくなりつつある」と語るとともに、被害者の情報管理やオンライン上のプライバシーにも注意を促した。

また、2025年にはすでに22件の対面型仮想通貨強盗事件が報告されており、これは前年の28件に迫る勢いである。特に欧州では「レンチ・アタック(物理的な暴行を伴う攻撃)」が多発しており、被害が報告されにくいという問題も存在する。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Chainalysis CEO offers a clue into recent spate of Paris crypto attacks」

コメント

仮想通貨が一般にも広がる中で、デジタル資産を狙う物理的な犯罪が増加しています。今回のような事件は決して他人事ではありません。自身や家族の安全を守るためには、資産情報をむやみに公開しない、SNSでの発言に注意する、オフラインでもセキュリティ対策を徹底するなど、多角的な対策が必要です。仮想通貨は追跡可能であるという正しい知識を広めるとともに、日常から身を守る意識を高めていきましょう。