ブロックチェーン解析企業Ellipticは、米国コロラド州に登記された企業「Xinbi Co. Ltd」が、東南アジアにおける詐欺やマネーロンダリングを支援する中国語圏の闇マーケット「Xinbi Guarantee」と関係していると報告した。

Ellipticによると、Xinbi Guaranteeはこれまでに84億ドル相当の暗号資産(主にステーブルコインUSDT)を受け取っており、その大部分がマネーロンダリングや詐欺行為に利用されたという。このマーケットはTelegram上で運営され、技術機器、個人情報、偽造書類などを販売し、いわゆる「豚殺し詐欺(Pig Butchering)」のような詐欺を仕掛ける東南アジアの犯罪者にサービスを提供している。

Xinbiは自社ウェブサイト上で「投資・資本保証グループ」と称しており、2022年に米コロラド州で法人登記されたが、2025年1月には定期報告書の不提出により「滞納」ステータスに変更されている。

Ellipticによれば、Xinbi Guaranteeは北朝鮮のハッカーによる資金洗浄にも関与している証拠があり、2024年第4四半期には10億ドル超の取引が確認されている。同プラットフォームは23万人以上のユーザーを抱え、「保証モデル」と呼ばれる仕組みを採用。これは出品者にデポジットを要求することで詐欺を防止するシステムである。

Xinbi Guaranteeは、2024年7月にEllipticが暴露した「Huione Guarantee」に次ぐ規模の闇マーケットであり、後者は約980億ドルに及ぶ暗号資産取引を支援していた。米財務省はHuioneを資金洗浄ネットワークとして指定し、米国金融システムからの切断を指示している。

Ellipticはこれらの事例を、中国を中心とする地下銀行ネットワークがステーブルコインを用いて大規模な資金洗浄に利用されている証左と指摘している。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Illicit $8B crypto market Xinbi incorporated in Colorado: Elliptic」

コメント

今回の報告は、暗号資産が犯罪組織による大規模なマネーロンダリングにどのように悪用されているかを改めて浮き彫りにしています。Xinbi Guaranteeのような闇マーケットが米国法人の名を使って活動していたことからも、規制のすき間を突いた犯罪手法の巧妙さがうかがえます。今後は、ブロックチェーンの透明性を生かした監視と、国際的な連携による規制強化が求められるでしょう。仮想通貨の利便性とリスクのバランスを意識して、正しい知識と対策を持つことが重要です。