英国控訴院は2024年5月21日、仮想通貨ビットコインSV(BSV)の投資家による約1.9兆円の損害賠償請求訴訟の一部を棄却し、Binanceを含む取引所側に有利な判断を下した。原告は、2019年のBSV上場廃止によって、資産価値の成長機会を失ったと主張していた。
裁判所は、BSVが唯一無二の資産ではなく、ビットコインやビットコインキャッシュなどの代替手段が存在していたと認定し、成長可能性を前提とした「仮定の利益損失」理論を却下した。また、原告には損失を他の資産への再投資などで軽減する機会があったとして、「損失軽減義務」を果たさなかった点を指摘した。
さらに、「価格上昇のチャンスを奪われた」という論拠も、仮想通貨市場の不安定さを理由に退けられた。裁判所は「自由に取引可能な資産である以上、損害の計算は上場廃止直後の時点で行うべき」とし、原告の主張を原則的に否定した。
この判断により、Binanceの限定的な請求棄却申請は成功した。また、同取引所は現在、FTX関連で提起された17億6000万ドルの訴訟の全面棄却も求めている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Binance scores legal win as UK court partially dismisses Bitcoin SV lawsuit」
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この判決は、仮想通貨投資におけるリスクと責任の所在について考えさせられる内容です。「もし上がっていたら」という仮定は法的には通用せず、市場の性質を理解したうえでの投資判断が求められます。特に上場廃止といった重大なイベントへの対応は、投資家自身の判断力と行動が問われる重要な局面となります。冷静な判断を日頃から心がけたいところです。