オーストラリア証券投資委員会(ASIC)は、暗号資産連動型利回り商品を提供していたフィンテック企業Block Earnerを巡る裁判で、連邦裁判所の判断を不服とし、最高裁への上訴許可を申請した。争点は「金融商品の定義」にまで拡大しており、仮想通貨業界を超えて大きな影響を及ぼす可能性がある。
問題となったのは、Block Earnerが提供していた「固定利回り型の暗号資産連動商品」が、金融商品や管理投資スキーム、またはデリバティブに該当するかどうかである。2024年4月、連邦裁判所はこれを「金融商品には該当しない」との判断を下したが、ASICはこの判断を再検討すべく最高裁への上訴申請に踏み切った。
ASICは声明の中で、「金融商品の定義は技術中立かつ幅広く解釈されるべきであり、公的な利益の観点からも明確化が必要である」と主張している。これに対し、Block Earner側は「裁判所の判断は極めて妥当かつ論理的であり、当社の運営の正当性を支持するものだ」と反論し、法的な手続きを通じて対応する構えを見せている。
この裁判は2022年11月に始まり、2024年6月にはBlock Earnerに罰則は科されないとの判断も出ているが、金融ライセンスの必要性については引き続き議論が続いている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Australian regulator asks High Court to allow appeal in Block Earner case」
コメント
仮想通貨と金融規制の交差点にある今回の裁判は、今後の暗号資産関連サービスの提供体制に大きな影響を与える可能性があります。Block Earnerの事例は、仮想通貨が従来の金融商品とどう位置づけられるべきかという、より本質的な論点を浮き彫りにしています。今後の最高裁の判断は、業界全体にとって前例となる可能性があるため、動向を注意深く見守る必要があります。