金融機関向けに価格情報を提供する約50兆円規模のデータ市場において、Web3オラクルネットワーク「Pyth」が大きな変革をもたらしている。開発元Douro Labsのマイケル・ジェームズ氏は、従来の高額・不透明なデータ提供体制に代わる新たなモデルとして、Pythの「プル型オラクル」が注目されていると述べた。
従来の金融データ市場は、わずか8社程度の大手ベンダーが独占し、取引量や規模に関係なく一律の高額料金を請求している。これは中小金融機関の参入障壁となり、イノベーションの阻害要因となっていた。
一方、Pythはユーザーが必要なときに必要なデータだけを取得し支払う「オンデマンド型」の仕組みを採用。これによりコストを大幅に削減し、リアルタイムで透明性の高いデータ活用が可能になる。特に2024年には、原油(WTIおよびブレント)のリアルタイム価格配信を80以上のブロックチェーンで開始するなど、エネルギー取引の分野にも進出した。
同年、Pythはオラクル市場におけるTVS(Total Value Secured:担保資産総額)を46倍に拡大し、市場シェアも約11.3%まで上昇。これはDeFiLlamaの統計によって確認されている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「High-speed oracles disrupting $50B finance data industry — Web3 Exec」
コメント
これまで金融データ市場は一部の大手企業に支配されており、価格の不透明さやコストの高さが課題でした。しかしPythのようなWeb3ベースの高速オラクルネットワークの登場により、金融の民主化が進みつつあります。リアルタイムかつ低コストでのデータ提供は、中小企業や新興プレイヤーにも大きなチャンスを与えるでしょう。今後、Pythのような革新的技術が金融のインフラそのものを再構築していくことが期待されます。