仮想通貨交換プラットフォーム「eXch」は、2025年4月にドイツ当局によって閉鎖されたが、依然として裏で稼働している可能性があると指摘されている。eXchはKYC(本人確認)を行わず、即時スワップを提供する仕組みを採用し、長年にわたりハッカーやサイバー犯罪者の資金洗浄の温床となっていた。

北朝鮮のハッカー集団「ラザルスグループ」も、Bybitから盗んだ14億ドルの一部をこのeXchを通じて資金移動したとされている。Bybitが協力を求めた際、eXchはこれを拒否し、最終的に4月17日に自主閉鎖を宣言、30日にはドイツ警察がサーバーを押収し、表向きには停止した。

しかし、セキュリティ企業TRM Labsによれば、閉鎖後もAPI経由で一部の取引を続けている可能性があり、犯罪者の匿名資金移動インフラとして機能しているとされる。eXchは英国でドメインを登録し、スイス、フランス、ドイツにまたがる国際的な分散運営を行っていた点も摘発を困難にしていた。

eXchの活動履歴は2014年にさかのぼり、2022年以降は著名な「ドレイナー(盗難代行業者)」によって頻繁に利用された。eXchの匿名性とプール型流動性システムは、資金の流れを複雑化させ、規制当局の追跡を妨げていた。

同社は「プライバシーは犯罪ではない」と主張し、閉鎖後も「新たな運営体制」への移行を示唆している。累計で19億ドルの仮想通貨が流入したとされ、eXchの活動は現在も世界のセキュリティ当局の注目を集めている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Crypto swapper eXch shows signs of life after post-Bybit shutdown」

コメント

匿名性の高い仮想通貨サービスは、利便性の裏に重大なリスクをはらんでいます。今回のeXchのように、KYCを行わないプラットフォームは犯罪利用の温床となりがちで、国際的な規制強化の必要性が浮き彫りになりました。私たち一般ユーザーも、信頼できるサービスを選ぶ目を養うことが大切です。また、今後もeXchのようなケースが発生し得ることから、仮想通貨の利用には慎重な姿勢が求められます。