OpenAIが進めるデジタルIDおよび暗号資産プロジェクト「World」は、米国での展開に向けて準備を進めているが、州ごとのバラバラなプライバシー法制により、ユーザー保護が不安視されている。
同プロジェクトは虹彩スキャンに基づく個人認証とトークン報酬を特徴としており、これまでにインド、韓国、ブラジル、スペインなどで調査や禁止措置を受けてきた。4月30日、サム・アルトマン氏はWorldの米国導入を発表し、アトランタ、オースティン、ロサンゼルス、マイアミ、ナッシュビル、サンフランシスコで展開する方針を示した。
だが、米国では連邦レベルで虹彩データを規制する包括的な法律が存在せず、州ごとに規制内容や執行力に差がある。特にテキサス州では、州司法長官の判断に委ねられており、保護が十分とはいえない。
一方で、日本ではTinderがWorldのIDシステムを導入し、実証実験が始まっている。今後、米国でも同様のパートナーシップが実現すれば、数千万規模のユーザーデータが取り込まれる可能性がある。
しかし、倫理的・法的課題は依然として残り、Amnesty InternationalやPrivacy Internationalなどの団体は「差別や監視の温床になる」と警鐘を鳴らしている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Alarm bells ring in US over OpenAI’s crypto project World」
コメント
OpenAIの「World」プロジェクトは、先進的な個人認証技術を掲げる一方で、プライバシーや倫理面での懸念が多く寄せられています。特に虹彩スキャンなどの生体データの取り扱いに対する法整備が米国では不十分であり、利用者の権利保護が不透明なまま進められている状況です。利便性と引き換えに個人情報が過剰に収集されるリスクをどう回避するかが、今後の議論の焦点となりそうです。皆さんも新しい技術の恩恵だけでなく、リスクについても慎重に向き合う必要があります。