知的財産やデジタル資産といった「無形の所有権」は、300年以上にわたって世界の創造と経済発展を支えてきた。アニモカ・ブランズの共同創業者ヤット・シウ氏は、NFTや暗号資産などのバーチャルなものに「実体がなくても価値がある」と語る。

その背景には、1709年に制定されたイギリスの「著作権法(通称アン法)」がある。この法律により、著作者が自らの創作物を保有・管理できるようになり、知的財産を守る制度が整えられた。これにより文学や科学、哲学といった分野での爆発的な発展が起こり、世界は啓蒙時代や科学革命へと進んでいった。

知的財産は「形のない資本」として、特許・商標・著作権・ブランド価値などの形で経済を動かしている。実際、2019年には米国の経済活動の41%が知財関連産業によるものであり、2023年には無形資産の総額が62兆ドルに達したという。

さらに、AI時代の到来によって知的財産の重要性はより高まっている。生成AIは膨大な著作物を学習素材とするが、それが権利侵害に該当するかは法的にも議論が続く。ブロックチェーンは、こうした無形資産の「所有権証明」や「利用履歴追跡」「報酬配分」などにおいて新たな解決策を提示している。

創作物やデジタル資産の所有権が誰にあるかは、未来の経済の主導権を握る鍵となる。アニモカ・ブランズは「すべての人にデジタル所有権を」という理念を掲げ、メタバース時代の公平な報酬と創造のエコシステムを目指している。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「The value of virtual: Economies are powered by ownership of the intangible」

コメント

NFTや暗号資産に「形がないのに価値があるのか?」と疑問を抱く方も多いかもしれません。しかし、歴史を振り返れば、著作権や特許といった無形の権利が世界の技術・文化・経済の発展を支えてきたことは明白です。現在では、ブロックチェーンやAIといった先端技術を通じて、個人が創作物やデジタル資産を公平に保有・活用できる仕組みが整いつつあります。これからの時代、「目に見えないもの」の価値をどう守るかが、創造性と経済成長のカギとなっていくでしょう。