ステーブルコイン発行企業Tetherは2024年5月15日、Tron(トロン)ネットワーク上で10億USDT(約1,560億円相当)の新規発行を行った。これにより、TronにおけるUSDTの認可供給量はEthereum(イーサリアム)を上回り、ステーブルコイン市場での覇権争いが再び激化している。

Tetherの公式データによれば、今回の新規発行を加味すると、TronのUSDT認可供給量は約737億ドル、Ethereumは745億ドルと僅差だが、流通量ベースではTronが736億ドル、Ethereumは718億ドルとなっており、Tronがリードしている。

この新規発行は、将来的な発行依頼やチェーン間スワップに備えた「在庫補充」として実施されたものであり、正式な供給前の準備的措置とされる。TetherのCEOであるパオロ・アルドイノ氏も、流動性の確保と発行スピードの向上を目的とした施策であると説明している。

現在、Tetherの総供給量は過去最高の1,500億USDTに達し、米ドル建てステーブルコイン市場の61%を占める。これに対し、競合のCircleは604億ドルで24.6%のシェアを維持している。

ステーブルコイン市場では、EthereumとTronの主導権争いに加え、Solana(23億USDT)、Avalanche(18億USDT)といった他のネットワークも存在感を強めており、今後の展開が注目される。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Tron’s USDT supply to surpass Ethereum’s with new $1B mint」

コメント

TetherがTron上で10億USDTを新規発行したことで、再びEthereumを上回る結果となりました。ステーブルコインは暗号資産取引やDeFiに欠かせない存在であり、今後の供給量の変化やネットワーク選好の傾向は、業界全体の方向性を占う鍵となります。TronやSolanaなどの成長も無視できない中で、どのネットワークがユーザーから選ばれるのか、引き続き注目していきたいですね。