分散型クラウドストレージプロトコル「Filecoin」を統括するFilecoin Foundationと、米航空宇宙大手ロッキード・マーティンが、地球周回軌道上の衛星において「InterPlanetary File System(IPFS)」を活用したデータ通信に成功したと発表した。

IPFSは従来のHTTPと異なり、データの保存場所ではなくコンテンツそのものに基づいて識別を行うため、より高いセキュリティとプライバシーを実現する。また、宇宙空間におけるデータ通信にも適しており、放射線によるデータ破損への耐性や、暗号技術を用いた改ざん防止、通信遅延の軽減などの利点がある。

Filecoin Foundationの会長マルタ・ベルチャー氏は、月面での通信では数秒、火星では数分の遅延があるが、IPFSであれば最も近いデバイスや衛星、月面ステーションからデータを取得可能だと説明する。これは中央集権的なデータセンターに依存せず、世界中に分散されたノードで冗長化されるため、機器劣化が起こりやすい宇宙環境でも高い信頼性を確保できる。

同財団は、メディア企業や軍事用途への応用も模索しており、将来的には地球全体における分散型データアーカイブの重要性が高まる可能性があると見ている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Filecoin, Lockheed Martin send data in space using decentralized data protocol」

コメント

Filecoinとロッキード・マーティンが宇宙でのIPFS通信に成功したニュースは、分散型テクノロジーの新たな可能性を感じさせる内容です。通信遅延が大きい宇宙空間においても、IPFSの特性が活かされることで、安全かつ効率的なデータ伝送が実現されています。将来的には、災害時や通信困難地域へのデータ配信にも応用されるかもしれません。技術の進展とともに、私たちの情報の届け方も大きく変わっていきそうです。