格付け機関ムーディーズは、2025年5月16日付で米国政府の信用格付けを最上位の「Aaa」から1段階下の「Aa1」へ引き下げた。主な理由は、国の累積債務が急増しているにもかかわらず、政府が歳出削減や赤字圧縮に向けた具体的な対策を講じていない点にある。
ムーディーズは声明の中で「現在検討されている財政提案からは、義務的支出や赤字の大幅かつ長期的な削減が実現するとは考えにくい」と指摘。特に今後10年間、社会保障や医療などの支出が拡大し、歳入が横ばいにとどまると予測している。
一方で、米経済の強さとドルの基軸通貨としての地位を評価し、長期的な見通しについては「バランスが取れている」として前向きなスタンスを維持している。
この格下げには市場から賛否両論の反応が出ており、一部の専門家は「2008年のリーマンショックを見逃した同じムーディーズが出す格付けは信用できない」と批判する一方で、他の投資家は「今回の格下げは実質的な影響を与えない」と冷静な姿勢を見せている。
なお、2025年1月時点で米国の累積債務は36兆ドルを突破し、長期国債の金利は5%近くまで上昇しており、借入コストの増大がさらに財政を圧迫する悪循環に陥っている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Moody’s downgrades US credit rating due to rising debt」
コメント
米国の信用格付け引き下げは、世界経済においても無視できないニュースです。現在のように国家債務が膨張し、歳出削減策が明確でない状況では、今後も長期金利の上昇や市場の不安定化が懸念されます。一方で、米国経済の基盤やドルの国際的信頼性は依然として強く、短期的な動揺は限定的かもしれません。投資家や企業にとっては、財政動向と金利の行方に一層の注視が必要となる局面です。