香港警察は、暗号資産と500以上のダミー口座を駆使した大規模なマネーロンダリング組織を摘発し、12人を逮捕したと発表した。洗浄された資金は総額約1億1800万香港ドル(約22億円)に上る。
この犯罪組織は香港・旺角にある民間住宅を拠点とし、詐欺で得た資金を暗号資産に換金する手法で資金洗浄を行っていた。関与したメンバーは、他人名義で銀行口座を開設し、不正資金を受け取った上で、尖沙咀の暗号資産両替店で現金を仮想通貨に変換していた。
5月15日の監視捜査で、2人の実行犯が銀行やATMで現金を引き出し、その後に暗号資産へ換金する現場を押さえられ、約77万香港ドル(約1,000万円)が押収された。その後、残りの10人(20〜41歳)も逮捕され、合計105万香港ドル以上の現金、560枚以上のATMカード、複数の携帯電話、銀行書類、暗号資産関連記録が押収された。
同局の警部補は、容疑者らが家族や友人名義の口座を利用して資金洗浄を行っていたと明かしている。2024年の香港における詐欺報告は前年比12%増加し、関連して1万人以上が逮捕された。そのうち73%が他人名義口座を使用していたという。
この摘発は、香港が進める暗号資産規制整備の一環であり、4月にはステーキングサービスに関する新規制が導入されていた。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Hong Kong police busts $15M laundering ring that used crypto, 500 bank accounts」
コメント
香港での暗号資産を利用したマネーロンダリング事件は、仮想通貨の匿名性と迅速性を悪用した典型例といえます。今回のように、多数のダミー口座や第三者名義を用いた手口は巧妙であり、個人も無自覚に犯罪に加担してしまうリスクがあります。香港当局は、規制整備を進める一方で摘発体制も強化しており、今後は日本を含む他国においても同様の事案への警戒が一層高まると予想されます。