米イリノイ州のコインベース利用者が、同社の本人確認手続きが州法「バイオメトリック情報プライバシー法(BIPA)」に違反しているとして、連邦裁判所に集団訴訟を提起した。原告はスコット・バーンスタイン氏、ジーナ・グリーダー氏、ジェームズ・ロナーガン氏の3名である。

訴状によれば、コインベースは政府発行のIDと自撮り写真の提出を利用者に求め、それを第三者の顔認証ソフトウェアにより処理させている。この過程で収集される顔の特徴情報が、事前の書面による同意なしに取得されていることが問題とされている。

さらに、コインベースは顔認証ベンダー(Jumio、Onfido、Au10tix、Solarisなど)に生体データを共有したとされ、これもBIPA違反に該当すると主張されている。訴状では、同社が収集目的や保存期間、データの破棄に関する方針を公開していない点も指摘された。

また、1万人以上の利用者が同問題で米仲裁協会に申し立てを行ったが、コインベースは仲裁費用の支払いを拒否し、案件が却下されたとの報告もある。

原告側は、意図的または重大な違反1件あたり5,000ドル、過失による違反1件あたり1,000ドルの賠償、差し止め措置、訴訟費用の支払いを求めている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Coinbase faces lawsuit over alleged breaches of Illinois biometric privacy law」

コメント

近年、顔認証や指紋認証などの生体認証は便利な一方で、プライバシー保護に対する懸念も高まっています。今回のコインベースの訴訟は、本人確認の名目で収集された情報がどのように扱われるべきか、利用者に明示されるべきかを問い直す重要な機会です。暗号資産取引所を利用する際には、プライバシーポリシーやデータ共有の仕組みにも注意を払うことが、今後ますます重要になっていくでしょう。