カナダのバイオ医薬企業Quantum Biopharmaは、ビットコイン(BTC)およびその他の暗号資産を新たに100万ドル(約1.5億円)分購入したと発表した。これにより、同社の暗号資産保有総額は約450万ドル(約6.8億円)に達した。
5月19日の公式プレスリリースによると、Quantumは保有する暗号資産の一部をステーキング(預け入れによる報酬獲得)する計画であり、収益源として活用する方針である。同社はこの戦略により、株主への投資利益の向上およびカナダドル下落へのヘッジ効果が得られると見込んでいる。
この発表を受けて、Quantumの株価(ティッカー:QNTM)は約25%急騰した。医薬業界では珍しい動きであり、市場の注目を集めている。
暗号資産を企業の財務戦略に組み込む動きは広がりを見せており、Quantumはその先駆者のひとつとなっている。2024年3月には、米ナスダック上場のバイオ医薬企業Atai Life Sciencesも500万ドル分のビットコイン購入計画を発表しており、創業者のクリスチャン・アンガーマイヤー氏は「特にバイオ医薬分野において、ビットコインは企業財務に不可欠な存在」と語っている。
さらに、シンガポールのBasel Medical Groupは5月16日に10億ドル規模のビットコイン購入計画を打ち出したが、この発表後には株価が15%下落するなど、市場の反応は企業によって異なる。
2024年5月時点で、企業財務部門が保有するビットコイン総額は830億ドルを超えており、ETFに次ぐ最大の機関投資主体となっている。資産運用大手Fidelity Digital Assetsも、ビットコインは財政赤字、通貨価値の下落、地政学リスクに対する有効なヘッジ手段となり得ると報告している。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Quantum Biopharma bolsters Bitcoin treasury」
コメント
バイオ医薬企業のQuantumがビットコインへの投資を拡大したことで、仮想通貨が単なる投機資産ではなく、企業の戦略的財務手段として活用されつつあることが明らかになりました。特に、研究開発に長期間を要する医薬業界では、通貨のインフレリスクや市場の不確実性に対処するための備えとして注目されています。今後、他業種でも同様の動きが広がるかもしれません。企業の資産運用における仮想通貨の役割が、より現実的なものとなってきています。