米証券取引委員会(SEC)のコミッショナー、ヘスター・パース氏は、NFT(非代替性トークン)における再販ロイヤリティの支払いが、証券法の対象にはならないとの見解を示した。この発言は、アーティストやクリエイターへの報酬分配が証券取引に該当するかどうかを巡る議論に一石を投じた。

パース氏は「再販時にロイヤリティを受け取るNFTは、証券としての要件を満たさない」と述べ、これはストリーミングサービスが楽曲再生ごとにクリエイターに報酬を支払う構造に近いと例えた。NFTは単に作品価値の上昇に応じてクリエイターへ報酬を分配するものであり、ビジネスの持分や利益配分の権利をNFT保有者に与えるものではないという。

Enjinの法務責任者オスカー・フランクリン・タン氏もこの見解を支持し、「ロイヤリティは投資収益ではなく、事業収益に類するものである」と説明。報道の一部ではSECがNFTロイヤリティを禁止していたように誤解されたが、そのような事実は存在しないと指摘した。

一方、NFTマーケットプレイスに対する規制の可能性は依然として残っている。OpenSeaはかつてSECからの調査を受けたが、2024年2月には正式に調査終了が発表された。同社はその後、NFT市場が証券法上の「取引所」に該当しないことを明確化するよう、SECに対して要望書を提出している。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「SEC’s Peirce says NFT royalties do not make tokens securities」

コメント

NFTの再販ロイヤリティが証券とはみなされないというSECの見解は、クリエイターにとって安心材料になりそうです。アートや音楽などの分野でNFTを活用する動きが進む中、このような法的整理は今後の発展に大きく寄与します。ただし、NFT取引所のようなマーケットプレイスに関しては、依然として規制リスクが残るため、引き続き注意深く動向を見守ることが重要ですね。