ドバイの仮想資産規制当局(VARA)は2025年5月19日、仮想資産サービス提供者(VASPs)向けの新ルールブックを公開し、実世界資産(RWA)トークンの発行および流通に関する明確な規定を設けた。新ルールは2025年6月19日までに順守が求められ、仮想資産の制度整備が大きく前進する形となった。

UAE拠点の法律事務所NeosLegalのパートナーであるイリーナ・ヒーバー氏は、Cointelegraphの取材に対し、「RWAトークンの発行とセカンダリーマーケットへの上場は、もはや理論上の話ではなく、ドバイおよびUAE全体で実現可能な規制現実となった」と述べている。

ヒーバー氏は、RWAは2018〜2019年に流行したセキュリティトークンオファリング(STO)と似ているが、当時は規制の不透明さと流動性の欠如が普及の壁だったと指摘。しかし、今回のVARAのルールでは、ARVA(資産参照型仮想資産)として制度化され、ライセンス要件や上場基準が整備されたことで、機関投資家の参入が現実的な段階に入ったとされる。

RWA発行者は、「カテゴリ1」ライセンス取得、ホワイトペーパーの提出、リスク開示書の用意、150万ディルハム(約40.8万ドル)の資本金または準備資産の2%の保有など、多岐にわたる基準を満たす必要がある。また、月次の外部監査や継続的な監督義務も課される。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Dubai regulator clarifies real-world asset tokenization rules: Lawyer」

コメント

今回のドバイによるRWAトークン化の制度整備は、仮想資産と現実資産をつなぐ重要な一歩となるでしょう。従来は曖昧だったトークン発行や流通に明確なルールが定められたことで、機関投資家も安心して参入できる環境が整いつつあります。特に、厳格なライセンス制度と監査体制は、業界全体の信頼性向上にもつながると考えられます。今後、RWA分野の急成長に注目していきたいですね。