Suiチェーン上の分散型取引所(DEX)であるCetusは、2025年5月22日に発生した2億2,000万ドル(約340億円)規模のハッキング被害に対し、犯人に最大600万ドル(約9.3億円)のホワイトハット報奨金を提示した。被害額のうち、Cetusは迅速な対応により約1億6,200万ドル相当を凍結することに成功している。

Cetusは、盗まれた2万924ETH(約5,500万ドル)を含む凍結資産の返還と引き換えに、2,324ETH相当の報奨金を提供すると提案。報奨金の受け取りと引き換えに、法的・調査・公的措置は取らないと述べているが、資産がミキサーを通じて換金された場合は、全面的な法的・情報機関による追跡に移行する構えを示している。

一方、Suiネットワーク側では、ハッカーによる資産移動を無効化するため、特定トランザクションのセキュリティ検証をバイパス可能な「緊急ホワイトリスト機能」の導入をGitHub上で議論。この対応は分散性の原則に反するとして批判の声も上がっている。

ただし一部からは、「真の分散性とは、傍観することではなく、許可なくとも連携して行動できることだ」として、迅速な対応を評価する意見もある。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Cetus offers $6M bounty after $220M hack as Sui faces decentralization debate」

コメント

今回のCetusのハッキング事件は、資産のセキュリティとブロックチェーンの分散性との間にあるジレンマを浮き彫りにしました。個人投資家にとっても、信頼できる取引所の選定や資産の管理方法を見直す重要な契機です。セキュリティ強化と自由な運用環境の両立には今後も課題が残りますが、こうした動向を注視することが、自身の資産を守る第一歩となるでしょう。