人工知能(AI)研究の第一人者であるベン・ゲーツェル博士は、30年以上にわたり分散型AIの重要性を訴え続けてきた人物である。1993年には既に「AIは分散型であるべき」と確信し、Javaのベータ版を用いて初の分散型AIコードを作成。1997年には最初のAI企業をニューヨークに設立している。

現在、同氏が率いるSingularityNETは、分散型AGI(汎用人工知能)の実現に向けたエコシステムを構築しており、Mind NetworkやFilecoin Foundationとの提携をはじめ、Ocean ProtocolやFetch.aiとのトークン統合、5,300万ドルのモジュラー型スーパーコンピュータへの投資など、急速に基盤を強化している。

さらに2024年には、分散型AGIに特化した世界最大のオープンソース連合「Artificial Superintelligence Alliance(ASI)」を設立。Goertzel氏は「Big Tech以外で本格的にAGI開発に取り組む唯一の存在」として、中央集権的AI開発に対抗している。

インターネットが中央集権化される中、AGIが同じ道を辿れば、その恩恵は特定企業に独占されかねない。そうした未来を避けるためにも、AGIの段階から分散型の構造が求められるというのが彼の主張である。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「‘In ‘93, it became clear to me AI should be decentralized’ — Ben Goertzel」

コメント

AGI(汎用人工知能)の実現が現実味を帯びる中、その開発体制にも注目が集まっています。ベン・ゲーツェル博士のように、AIの分散化を長年主張してきた人物が再評価されるのは当然の流れかもしれません。中央集権的なAIではなく、オープンかつ分散された形で開発されるAIこそが、私たちの未来にとってより公平で安全な選択肢となるのではないでしょうか。今後のAGI動向を注視していきたいところです。