米暗号資産取引所Coinbaseは、過去に複数回、マイケル・セイラー氏率いるStrategy社のようなビットコイン集中投資戦略を検討していたが、最終的には実行を見送っていたことがBloombergの報道で明らかとなった。

Coinbase CEOのブライアン・アームストロング氏は、5月9日のビデオ通話で「過去12年間の中で、バランスシートの80%をビットコインに投入すべきかと悩んだ瞬間は確かにあった」と語った。しかし、現金ポジションのリスクや、取引所自体の存続に関わる問題を考慮し、「リスクについて意識的に選択を行った」と説明している。

CFOのアレシア・ハース氏も「どの暗号資産が優位になるかを巡って、顧客と競合するように見られたくなかった」と述べた。一方でCoinbaseは2024年第1四半期に1億5300万ドル相当の暗号資産を新たに購入しており、その大半がビットコインに集中しているという。

現在、Coinbaseはビットコイン9,480BTC(約9.8億ドル相当)を保有しており、これは同社の13億ドル規模の暗号資産保有額の大部分を占める。企業としては世界第9位のビットコイン保有量となっている。

なお、同社は5月8日、デリバティブ取引プラットフォーム「Deribit」を29億ドルで買収することで合意。これによりCoinbaseは、暗号資産デリバティブ市場における「世界的リーダー」になると発表した。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Coinbase considered Saylor-like Bitcoin strategy before opting out: Bloomberg」

コメント

Coinbaseがビットコイン集中投資を回避した判断は、企業としての健全性や顧客との信頼関係を守る上で合理的な選択だったといえます。とはいえ、今回のDeribit買収のように、暗号資産市場の拡大と多様化には積極的に取り組んでおり、投資戦略の幅を広げている点にも注目です。セイラー戦略を真似る企業が増える中で、Coinbaseのバランス感覚が今後の業界にどう影響するか、引き続き注視する価値があります。