ステーブルコイン市場で圧倒的な存在感を示すTether(テザー)の米ドル連動トークン「USDt(USDT)」の時価総額が、2025年5月12日に初めて1,500億ドルを突破した。これはステーブルコインの採用が世界的に進む中での重要な節目である。
CoinMarketCapによれば、現在USDtは世界のステーブルコイン市場の61%を占めており、2位のUSDC(Circle発行)は約25%にとどまる。特に、2024年11月の米大統領選でドナルド・トランプ氏が再選されて以降、USDtの流通量は1年間で36%以上増加し、その成長は加速している。
また、ステーブルコイン全体においても利用が拡大しており、DuneとArtemisのデータによると、アクティブウォレット数は前年比で50%以上増加し、1,960万から3,000万に達した。
テザーは、こうした状況の中で米国内市場への再参入を視野に入れており、年内にも米ドル担保の新たな「国内向けステーブルコイン」を発行する計画を明らかにしている。CEOのパオロ・アルドイノ氏は、ドバイでのToken2049カンファレンスの場で「国際版とは別の仕組みを持つだろう」と述べた。
ただし、米国ではSTABLE法案を含む複数のステーブルコイン規制法案が審議されており、元CFTC(米商品先物取引委員会)委員長のティモシー・マサッド氏は「STABLE法案には国家基準の甘さや監督の不十分さがある」と懸念を表明している。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「USDt market cap hits $150B for first time as Tether eyes US expansion」
コメント
Tether(USDT)が時価総額1,500億ドルを突破し、市場の6割以上を占める存在となったことは、ステーブルコインが仮想通貨取引において不可欠なインフラとなっていることを改めて示しています。特にトランプ政権の再登場と共に米国での規制緩和が期待される中、Tetherの米国内再進出の動きには注目が集まります。今後の法整備や市場環境の変化によっては、さらなる成長が見込まれますので、動向を注意深く見守る必要があります。