米資産運用大手ブラックロックは、自社のビットコイン現物ETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」の規制当局への届け出書類に、量子コンピューティングによるリスクを新たに明記した。これは、急速に進化する新技術がビットコインなどの暗号資産の根幹を揺るがす可能性があることを示している。
5月9日に提出された改訂版では、「量子コンピューティング技術が進展すれば、ビットコインを含む多くのデジタル資産で使用されている暗号アルゴリズムの有効性が損なわれる可能性がある」と記述された。これはIBITのリスク開示として初めて量子コンピュータの脅威を明示した内容である。
IBITは、約640億ドルの純資産を誇る最大の現物ビットコインETFであり、その成長に伴いリスク管理の重要性も高まっている。量子コンピュータは、従来のコンピュータでは不可能な計算を実現しうる革新的技術であり、もし既存の暗号方式が突破されれば、過去にアクセス不能となっていたビットコインウォレットの解読なども現実味を帯びてくる。
ただし、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストであるジェームズ・セイファート氏は、「ETFのリスク開示では、実現可能性が極めて低くとも考えうる全てのリスクを網羅することが義務付けられている」と説明している。
IBITを含むビットコインETF全体では、2024年1月の開始以来400億ドル超の純流入が確認されており、5月8日には過去最高の流入額を記録した。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「BlackRock flags quantum computing as risk for Bitcoin ETFs」
コメント
ブラックロックが量子コンピュータの脅威を公式にリスクとして明記したことは、暗号資産の長期的な信頼性に対する慎重な姿勢を示しています。現時点では実現可能性が低いとされるものの、将来的に量子技術が進展すれば、ビットコインの安全性を再評価する必要が出てくるかもしれません。ETFを通じてビットコインに投資する方にとっても、こうした新技術の進展とその影響を注視することは重要です。リスク管理とイノベーションのバランスが今後ますます問われる時代になりそうです。