米連邦検察は2024年に米証券取引委員会(SEC)の公式X(旧Twitter)アカウントを不正に乗っ取り、ビットコイン現物ETFの承認を偽って投稿したエリック・カウンシル・ジュニア被告に対し、2年間の実刑を求めている。
5月12日にコロンビア特別区連邦地方裁判所へ提出された文書によると、検察は「ガイドラインに基づく実刑判決が妥当である」と主張。カウンシル被告は、偽造身分証の作成や通信会社での虚偽申請を通じて、共犯者とともにSIMスワップ攻撃を行い、SECのXアカウントへのアクセスを不正に取得したとされる。
この攻撃により、2024年1月、SECがビットコイン現物ETFを承認したという虚偽の投稿がXに掲載され、約24時間にわたり市場が混乱。実際の承認発表の前にビットコイン価格が一時1,000ドル以上上昇する事態となった。
この件に関連して、被告は共謀罪で有罪を認めており、判決公判は5月16日に予定されている。現時点で弁護側からの正式な反論は提出されていない。
一方で、バイデン政権下の検察当局の人事には遅れがあり、トランプ前大統領はニューヨーク東・南地区およびコロンビア特別区に対して上院承認を経ない臨時の米連邦検事を任命。この人事が今後の暗号資産関連の刑事訴追にどのような影響を及ぼすかは不透明である。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「US Prosecutors recommend 2 years for SEC hacker」
コメント
今回の事件は、SECの公式アカウントが狙われたことで、暗号資産市場の脆弱性と情報操作の危険性を改めて浮き彫りにしました。市場への影響が大きい情報は、一つの投稿でも価格変動を引き起こすため、今後は各機関のセキュリティ強化が一層求められます。カウンシル被告への判決がどのような前例となるかにも注目です。暗号資産に関わる方は、情報源の真偽を見極める目も必要になってきています。