世界最大のステーブルコイン「USDt」を発行するTether社は、金に裏付けられたトークン「Tether Gold(XAUt)」をタイの暗号資産取引所Maxbitに上場させたことを2025年5月13日に発表した。これにより、Tether Goldはタイ市場への本格参入を果たした。
XAUtは、1トロイオンスの金に裏付けられたデジタル資産であり、2020年1月にローンチされ、現在の時価総額は約8億200万ドルに達している。Maxbitの発表によれば、同取引所はタイ国内で初めて「実物資産である金に裏付けられたトークンペア」を取り扱うことになる。
この動きは、タイ証券取引委員会(SEC)が2025年3月にTetherのUSDtやCircleのUSDCといった米ドル建てステーブルコインの国内取引を正式に承認したことに続くものである。これにより、規制下の取引所でのステーブルコイン取引が可能となった。
Maxbitは2023年10月に設立されたタイのデジタル資産取引所で、同国のSECの監督下で運営されている。主要株主は、タイの大手エネルギー企業PTGエナジー(35%)であり、その他にもSpearhead Labs(29%)、Unit Company(28.7%)などが出資している。
ただし、Maxbitは現在、取引量や認知度の面では他の主要取引所に遅れを取っている。公式サイトでは80種類以上の暗号資産を取り扱っているとされるが、CoinGeckoやCoinMarketCapにはまだ掲載されておらず、タイ市場ではBitkubが75%以上のシェアを占めて最大手の地位を確立している。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Tether Gold enters Thailand with listing on Maxbit exchange」
コメント
Tether Goldのタイ市場参入は、暗号資産と実物資産をつなぐ新たなユースケースの拡大として注目されます。特に、金という信頼性の高い資産に裏付けられたトークンが、タイのような新興市場でも取引可能となることで、資産保全手段としての選択肢が広がります。一方で、上場先のMaxbitはまだ知名度が低く、今後の市場展開や競争力の強化が鍵となるでしょう。規制環境が整いつつあるタイで、どのような成長を遂げるかが注目されます。