暗号資産プロジェクト「Polyhedra」は、ゼロ知識証明(ZK)を用いてAIとWeb3の信頼基盤(トラストレイヤー)を構築することを目指している。UCバークレーやスタンフォード、清華大学の研究者によって設立された同社は、AIの出力結果やブロックチェーン上のトランザクションを第三者の介入なく検証できる技術を開発している。
ZKは、データを公開せずにその正当性を証明できる技術であり、AIにおいてはプライバシーを保ちつつ予測の妥当性を確認できる。例えば、学習済みのモデルが正しく動作していることを証明しながら、訓練データや内部パラメータは一切開示しないといった応用が可能である。
Polyhedraは、zkPyTorchやzkBridge、Expanderといったツール群に加え、AI向けのレイヤー1ブロックチェーン「EXPchain」やProof Cloudなどを展開。これらはAIの検証可能性、データのプライバシー保護、複数ブロックチェーン間の相互運用性といった課題に対応するものである。
また、次世代エンジニアの育成にも力を入れており、Ethereum財団やGoogleと提携したブートキャンプ「Explore Expander Bootcamp」でZKやzkMLに特化した実践的教育を提供している。ZKとAIを理解する人材の需要が高まる中で、実装力を持つ開発者の育成が急務となっている。
Polyhedraはすでに25以上のブロックチェーンを横断するzkBridgeの実運用に成功し、トラストレスなWeb3の将来に向けた着実な一歩を踏み出している。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Building a zero-knowledge trust layer for AI and Web3 — Interview with Polyhedra」
コメント
ゼロ知識証明(ZK)の技術は、AIとブロックチェーンの融合において「信頼性」と「プライバシー」を両立させる重要な鍵となります。Polyhedraの取り組みは、AIの判断を検証可能にしながらも機密情報を守る仕組みを現実の技術として提供しており、個人データの安全な活用が可能になる未来を見据えたものです。特に教育と開発者育成にも注力している点は、日本の技術者にとっても学ぶ価値が大きい領域です。今後のZK技術の発展と普及にぜひ注目したいところです。