米国のフィンテック企業ロビンフッド(Robinhood)は、カナダの暗号資産企業WonderFiを1億7,900万ドル(約2億5,000万カナダドル)で買収すると発表した。この全額現金による買収は、ロビンフッドがグローバルな暗号資産市場への展開を強化する一環として行われ、2025年後半に完了予定である。

WonderFiは、カナダで長年にわたり規制下で運営されてきた暗号資産取引プラットフォーム「Bitbuy」と「Coinsquare」を傘下に持ち、総資産21億カナダドル以上を管理している。これらのプラットフォームは、取引、ステーキング、カストディ(資産保管)といったサービスを提供しており、初心者から上級者まで幅広いユーザー層を持つ。

買収契約では、ロビンフッドがWonderFiの発行済株式を1株あたり0.36カナダドルで取得することになっており、これは前日終値比で41%、過去30日間の出来高加重平均価格比で71%のプレミアムとなっている。買収前のWonderFiの時価総額は約1億6,390万カナダドルで、2024年には前年比28%増の35億7,000万カナダドルの取引高を記録するなど好調を維持していた。

この買収は、米国での規制緩和を背景に2025年に加速している暗号資産業界のM&A(合併・買収)ブームの一環であり、同年にはCoinbaseによるDeribitの29億ドル買収、RippleによるHidden Roadの12.5億ドル買収、KrakenによるNinjaTraderの買収などが相次いでいる。

ロビンフッドは2024年にも、暗号資産取引所Bitstampを2億ドルで買収しており、機関投資家向けサービス強化を進めている。さらに、ヨーロッパの個人投資家が米国証券を取引できるブロックチェーンネットワークの開発も報じられている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Robinhood to acquire Canada’s WonderFi for $179M in global crypto push」

コメント

ロビンフッドによるWonderFiの買収は、暗号資産市場におけるグローバル展開の加速を示す象徴的な動きです。カナダで確立された規制下のプラットフォームを取り込むことで、信頼性と取引基盤を一層強化できると期待されています。2025年は、各国の規制環境の変化を背景に、業界全体でM&Aが活発化しており、今後も大手企業の動きから目が離せません。投資家にとっては、こうした動きが市場の成熟や新たなサービス拡充につながる可能性を秘めており、注目すべきトレンドといえるでしょう。