フランスの暗号資産取引所「Paymium」のCEOであるピエール・ノワザ氏の娘と孫が、パリ11区の路上で誘拐されかける事件が5月13日に発生した。大胆かつ白昼堂々の犯行は、仮想通貨関係者やその家族を狙った暴力事件が世界的に増加していることを象徴している。

事件は、ノワザ氏の娘が息子と共に歩行中、3人の覆面男に襲撃され、待機していたバンに押し込まれそうになったものである。彼女と同行していた男性が助けようとした際には暴行を受けたが、娘は抵抗し、犯人の1人から銃を奪って投げ捨てたという。通行人の介入もあり、犯人たちは現場から逃走した。後に逃走に使用されたバンは近くで発見され、被害者らは病院に搬送された。

現在、この事件はフランス内務省傘下の武装強盗対策部隊(BSR)が捜査を進めている。

この事件を受け、ポーランドの仮想通貨取引所PlasbitのCEOであるマイケル・イングランダー氏は、「仮想通貨業界にいながらにして富をネット上で誇示するのは無責任であり、家族を危険に晒すことになる」と警鐘を鳴らしている。

このようなオフラインでの仮想通貨絡みの犯罪は急増しており、同様の事件が世界各地で報告されている。例えば、ラスベガスでは5月に暗号資産イベント帰りの男性が銃を突きつけられて拉致され、400万ドル相当の資産を奪われたほか、仏レジャー社の共同創業者デヴィッド・バランド氏も1月に誘拐されている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Crypto exchange CEO’s daughter fights off brazen kidnappers in Paris」

コメント

仮想通貨に関わる人々が、オフラインでの犯罪の標的になるケースが増えています。今回の事件では、一般市民の助けにより誘拐は未遂に終わりましたが、家族や個人の安全が脅かされる事例は後を絶ちません。仮想通貨の匿名性や資産の分散性が利点とされる一方で、その保有が命の危険に繋がる可能性もあります。自身の資産だけでなく、大切な人を守るためにも、SNSでの過度な自己開示や所在地の特定につながる投稿には十分な注意が必要です。セキュリティ対策はオンラインとオフラインの両面で意識していきましょう。