暗号資産市場が強気相場に入る中、DeFi(分散型金融)領域では、レンディング(貸付)プロトコルのTVL(ロックされた総資産価値)が急成長を遂げている。一方、かつてDeFiの主役だったDEX(分散型取引所)のTVLは大きく後退しており、両者の明暗が分かれている。
2024年現在、DeFi全体のTVLは約1,246億ドルに達し、そのうちレンディングは約536億ドルで43%を占め、リキッドステーキングを上回って最大のカテゴリとなっている。中でもマルチチェーン対応のAaveが250億ドルを保有し、レンディング市場の約半分を担っている。
これに対し、UniswapなどのDEXは2021年11月の853億ドルから、現在では215億ドルにまで縮小。Apollo Capitalの創設者ヘンリク・アンダーソン氏は、「レンディングは、DeFiで唯一持続可能な利回りを生む方法」と述べ、インパーマネントロス(価格変動による損失)によってDEXの収益性が大きく損なわれていると指摘する。
さらにUniswap v3の「資本効率化設計」や、インテントベースのクロスチェーンスワップ技術の普及も、DEXからの流動性流出を加速させている。
レンディングでは、ユーザーはイーサリアムやUSDTなどを預けて年利1.8〜3.1%の利回りを得られる。一方で、DEXではより高い報酬も得られるが、日々の変動が激しく持続可能性に課題がある。
Galaxy Digitalのレポートによると、DeFiレンディングは2024年末時点で暗号資産貸付市場全体の約65%を占め、2022年以降はCeFi(中央集権型金融)よりも高いシェアを維持。特にGenesis、Celsius、BlockFiなど中央集権型貸付業者の破綻以降は、DeFiが急速に回復し、2年間でDeFi借入量は約960%増加したという。
アルゴリズムによるリスク管理や過剰担保モデルの採用が、DeFiの安定性と信頼性を支えていると評価されている。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「DeFi lending TVL is outpacing DEXs due to more sustainable yield — VC」
コメント
現在のDeFi市場では、レンディングプロトコルが注目を集めています。特に安定した利回りを求めるユーザーにとっては、AaveやCompoundのようなプラットフォームが魅力的な選択肢となっているようです。一方、DEXは収益の変動性が高く、リスクも大きいため、慎重な判断が求められます。今後、機関投資家の参入や明確な規制整備が進めば、DeFiレンディングはさらに大きな成長を遂げる可能性があります。