破綻した暗号資産レンディング企業Genesisは、親会社であるDigital Currency Group(DCG)およびCEOバリー・シルバート氏らを相手取り、総額33億ドル以上の返還を求める2件の訴訟を起こした。訴状によれば、Genesisの資産は不正な融資や隠蔽された送金を通じてDCGに流出し、同社は意図的に財務状況を誤認させていたとされる。

2025年5月19日、デラウェア衡平裁判所に提出された訴状では、DCGがGenesisを「企業のATM」のように利用し、21億ドル相当の暗号資産を引き出していたと主張されている。貸し手への返済義務は依然として約22億ドル残っており、ビットコイン(19,086BTC)やイーサリアム(69,197ETH)などが含まれている。

また、Genesisは流動性のないGrayscale Bitcoin Trust(GBTC)を担保として強制的に受け入れさせられ、売却を禁じられていたとも述べている。これにより大幅な評価リスクが発生し、経営悪化を加速させたとされる。

もう一件の訴訟は、破産申立ての1年前にDCGとその関連企業が12億ドル以上の資産を引き揚げたことに関するもので、これらは市場崩壊の時期と一致している。内部関係者が資金を全額回収していた一方で、一般債権者は損失を被ったとされる。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Genesis files dual lawsuits to claw back $3.3B from DCG, Barry Silbert」

コメント

Genesisによる訴訟は、暗号資産業界における経営不正やリスク管理の欠如が、いかに深刻な影響を及ぼすかを浮き彫りにしています。今回の事案は、業界最大級のプレイヤーによる不透明な資金移動が焦点となっており、投資家保護の観点からも注目すべき動きです。今後の訴訟の進展が、暗号業界全体の規制や信頼性にどう影響するのかを見守る必要があります。