デジタル資産貸付サービスを展開するLednは、2024年5月23日にビットコイン(BTC)貸付事業の全面的な見直しを発表し、今後は「完全保管型モデル」へ移行することを明らかにした。これにより、同社は顧客資産を他者に貸し出して利回りを得る従来の仕組みを停止し、BTCを自社または指定のファンディングパートナーが完全に保管する形へと転換する。

この決定により、顧客の資産は再担保化されることなく、リスクを最小限に抑える運用が可能となる。同社の共同創業者でCEOのアダム・リード氏は「ビットコインが本来意図していた“信頼なき金融”の理念に立ち返る」とし、リスクの高い伝統金融の手法から距離を置く姿勢を示した。

また、Lednはイーサリアム(ETH)のサポートを打ち切ることも発表した。これは、同社の顧客アクティビティの99%以上がBTCに集中している現状を踏まえた戦略的判断であり、プラットフォームの複雑性を排除し、コア機能に集中する狙いがある。

2018年創業のLednは、Galaxy Researchによれば99億ドル規模の貸付実績を持ち、暗号資産担保ローンを提供する最大手の1つとされる。保有資産を売却せず、課税リスクも避けつつ流動性を確保できる手段として、富裕層を中心に利用が拡大している。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Ledn ditches ETH, shifts to full custody model for Bitcoin loans」

コメント

Lednの今回の動きは、暗号資産業界において「より安全性と透明性を重視したサービス提供」が求められている時代の流れを反映しています。資産を第三者に再利用させることなく保管する姿勢は、ユーザーにとって大きな安心材料です。また、複雑な運用ではなく、価値の本質に立ち返る企業の姿勢は、投資家としても信頼につながります。これを機に、利用中のサービスの透明性やリスク管理体制を見直してみるのも良いかもしれません。