Suiブロックチェーン上に構築された分散型取引所(DEX)「Cetus」において、2億ドル(約310億円)を超える可能性のある資産流出が発生したとみられている。Cetus側はこれを「バグ」と表現しているが、オンチェーンのデータや複数のセキュリティ専門家の分析は、意図的な不正アクセスの可能性を示唆している。

暗号資産セキュリティ企業Hackenのモニタリングツール「Extractor」は、少なくとも6,300万ドルがEthereumにブリッジされ、そのうち2万ETHが新規ウォレットに送金されたことを確認した。Cetusの取引データによれば、5月22日には約29億ドルの取引が処理され、前日の3億2,000万ドルから急増している。この異常な取引量は、資金がプロトコルから抜き取られている兆候と見られる。

現時点で、Cetus側はCointelegraphのコメント要請に回答しておらず、Suiチームからも公式な声明は出ていない。CetusのX公式アカウントは、スマートコントラクトを一時停止したことと、調査を進行中であることを認めている。

この事件の影響で、Sui基盤の貸付プロトコル「Scallop」はすべての借入機能を一時停止。また、DEX上で取引されていた複数トークンの価格が急落し、AXOLなどは99.5%もの価値を失っている。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Sui DEX Cetus hit by suspected hack: Over $200M in potential losses」

コメント

今回のCetusに関するハッキング疑惑は、分散型取引所におけるセキュリティの重要性を再認識させる事件です。多額の資金が一瞬で流出するリスクは、利用者だけでなく関連プロジェクト全体に波及します。今後、原因の究明と再発防止策が求められると同時に、私たちユーザー側も信頼できるプラットフォームの選定と資産管理の見直しが必要です。