暗号資産ミキサー「Tornado Cash」の共同創業者ローマン・ストーム氏に対する米連邦検察の裁判が継続されることが決定された。ただし、起訴内容の一部は、米司法省が2025年4月に発表した暗号資産政策の見直しを受けて取り下げられた。

マンハッタン地区の代理連邦検事ジェイ・クレイトン氏は5月15日、裁判官への書簡で「未登録の送金業者運営に関する共謀罪の一部を取り下げる」と通知。これは、トッド・ブランチ副司法長官が署名したメモの内容に準拠したもので、今後は「利用者の行為による責任」や「意図しない違反」に対する起訴は行わない方針とされている。

ただし、ストーム氏が違法に取得された資金を送金した、または犯罪目的に利用することを知りながら送金したという容疑は引き続き追及される。起訴状には、約10億ドル相当の仮想通貨のマネーロンダリングを支援し、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス・グループ」にも利用されたと記されている。

なお、共謀によるマネーロンダリングおよび制裁違反の罪状はいずれも最大20年の懲役刑が科される可能性があり、ストーム氏の裁判は7月14日に開始予定である。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「Tornado Cash dev Roman Storm trial goes ahead with slight trim」

コメント

Tornado Cash開発者への起訴は、暗号資産業界と規制当局との関係性を大きく左右する注目の事例です。司法省の方針転換により、今後は「開発者個人への過度な責任追及」が見直される可能性が出てきましたが、一方でマネーロンダリングや制裁違反の問題には引き続き厳しい姿勢が取られるようです。業界全体としても、法的リスクと倫理的責任のバランスを見極める姿勢が求められています。