米資産運用会社VanEckは、リアルワールドアセット(RWA)のトークン化を活用した初のファンド「VBILL」の立ち上げを発表した。対象資産は米国債であり、トークン化プラットフォームSecuritizeと提携して提供される。これにより、VanEckはBlackRockの「BUIDL」やFranklin Templetonの「BENJI」などと並び、伝統金融機関によるRWAトークン化市場への本格参入を果たしたことになる。

VBILLファンドは、Avalanche、BNB Chain、Ethereum、Solanaといった主要ブロックチェーン上で展開され、最低投資額はAvalanche、BNB Chain、Solanaで10万ドル、Ethereum上では100万ドルに設定されている。

RWAトークン市場では、米国債が時価総額69億ドルと、プライベートクレジットに次ぐ規模を誇る資産クラスとなっている。今回のVanEckの提携先であるSecuritizeは、これまでに39億ドル超の資産をトークン化しており、2024年5月にはBlackRock主導の資金調達で4,700万ドルを調達している。

RWAのトークン化は、決済スピードの向上や、これまで非流動的だった資産に流動性を与えるなど、従来の金融システムを超える利点があるとされている。

2025年5月12日に開催された米証券取引委員会(SEC)のラウンドテーブルでは、委員長ポール・アトキンス氏がこの流れに言及し、「証券のオンチェーン移行は、音楽産業がアナログからデジタルへ移行した変革に匹敵する」と述べた。ブロックチェーン技術は、証券発行や取引、保有、活用のあり方を根本的に変える可能性があるという。

※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「VanEck to launch its first RWA tokenization fund」

コメント

VanEckのRWAトークン化ファンド「VBILL」の発表は、伝統的な金融業界とブロックチェーン技術の融合が加速していることを示す象徴的な動きです。米国債のような安全資産をトークン化することで、これまで資産運用の対象になりづらかった投資家層にも新たな機会が開かれます。さらに、証券取引の効率化や透明性向上が期待され、今後の金融市場のあり方を大きく変える可能性があります。トークン化の波は、今後さらに広がっていくでしょう。