Worldcoinが発表した携帯型虹彩スキャン装置「Orb Mini」が、暗号資産コミュニティ内で大きな波紋を呼んでいる。この小型デバイスは、「どこへでも持ち運べる人間認証ツール」として開発されたが、SNSでは「ディストピア的」との批判や、実用性への疑問が相次いだ。
Orb Miniは、ユーザーの虹彩をスキャンして「World ID」を生成するもので、情報はブロックチェーン上に保存される。しかし、その外観はスマートフォンに目のセンサーを取り付けたような構造で、不気味さを感じさせると指摘されている。
DeFiレンディングプラットフォームEuler FinanceのAlicia Katz氏は、「人間は他の人間を直感的に識別できる。目のスキャンを迫られた時の気持ちは『不気味の谷』そのもの」と皮肉を述べた。SNS上では「これで友達を登録するのか?」と揶揄する声や、「AI生成の顔で簡単に騙せそう」といった技術的懸念も出ている。
また、Swan BitcoinのCEOであるCory Klippsten氏は、「Orb Miniは現実的な課題を解決するものではなく、不安の裏返しだ」と批判。プライバシーや生体データの取り扱いに対する懸念が広がっている。
同プロジェクトはすでにブラジル、ドイツ、ケニア、インドネシアなど複数の国で規制当局の抵抗に直面しており、今後の普及に不透明感が増している。
※本記事は、以下の記事をもとに翻訳・要約しています。
Cointelegraph「“Humans can tell when it’s a human” — Community mocks Worldcoin’s Orb Mini」
コメント
「Orb Mini」は技術革新の象徴とも言える一方で、ユーザーのプライバシーや倫理的な問題を無視できないプロダクトです。人間の虹彩をスキャンしブロックチェーンに登録するというアイデアは先進的ですが、個人情報の取り扱いや悪用リスクに対する慎重な議論が不可欠です。便利さと引き換えに、我々が手放してしまうかもしれない「自由」や「匿名性」について、今一度立ち止まって考える必要があるでしょう。